のるうぇいのもり
かの有名なむらかみはるきさんの『のるうぇいのもり』のなかで、名言といわれ、私の好きな言葉。
どのような真理をもってしても愛するものを亡くした哀しみを癒すことはできないのだ。どのような真理も、どのような誠実さも、どのような強さも、どのような優しさも、その哀しみを癒すことはできないのだ。我々はその哀しみを哀しみ抜いて、そこから何かを学びとることしかできないし、そしてその学びとった何かも、次にやってくる予期せぬ哀しみに対しては何の役にも立たないのだ。
悲劇が繰り返されると、どうして防げなかったのか、なぜあの時学ばなかったのかという声が上がる。
何かしていれば、そのような結果には至らなかったかもしれない。
でもそういう結果ありきで、こうしていたら、ああしていればというのも、結局のところその前に何もしていない人と同じなんだろうなと思う。
似たような事象が繰り返されると、たいていの場合、人は慣れていくはずだ。
けれども愛するものを亡くした悲しみにはどうやっても慣れない。それは死という事象としては同じかもしれないけど、ひとつひとつが全く別物だからだろう。
人はだれひとりとして同じ人なんていないんだから、そもそもこれは繰り返しではない。慣れるはずもないし、慣れたくもない。
せめて私にできることは、悲しみに暮れている人を自分の言葉でさらに傷つけないこと。
そっとしておくこと。
何も言わないことがかえって良いときもある。