好きなもの、好きなこと

好きを言葉にする。残念なアラサー。

『が』の発音について。普段の生活の中で、立ち止まって考えたことはあるだろうか。おそらく人前で話したり歌ったりすることを生業としている人は考えたことはあるかもしれないが、そういう人でない限り考えるようなことではないと思う。私はたまたま高校生の頃、現代文の先生がかつてアナウンサーを目指していたため、『が』の発音について考える機会を与えてくれた。

先生によると正しい『が』の発音は少し鼻にかけて『が』と発音する。やりすぎると『んが』となる。アナウンサーの話し方を注意して聞くと、とても自然に『が』を発音している。関東に住む人はこの発音を自然に身につけているらしい。しかし地方に住む人は鼻にかかることをせず、しっかりと『が』と発音する。一種の方言のようだ。私は後者であり先生の話に衝撃を受けたため、こうして今でも記憶に残っているくらいである。

先生の話を聞いてから、人の話や歌を聴く中で『が』の発音に少しばかり着目するようになった。そして(たぶん誰も興味ないと思うけれど)私の【ベスト of が】をみつけた。それは森山直太朗さんの発音する『が』である。中でも『夏の終わり』の一節、『ながれゆくときに ささぶねをうかべ』の『が』は本当に美しい。個人的な見解であるが、CDに収録されているものよりは最近の歌番組で披露された『が』のほうがより発音が美しいし、私の好みである。直太郎さんは言うまでもなく、歌がうまい歌手として認識されている。実は話し声もとても素敵であり、話しているときの『が』の発音も美しい。意識しないでとても自然に『が』を美しく発音できている。

歌っているときでも、話しているときでも一文字が聞こえる時間はほんの一瞬。言葉や文脈としての一部であるから、正しいか間違いなんてあまり重要視されない。はっきり言ってしまえば、どうでもいいこと。それでも【ベスト of が】と出会えたのはとても幸せなことだ。