好きなもの、好きなこと

好きを言葉にする。残念なアラサー。

雪の降る景色

自分が住む地域ではそれほど雪は降らない。一年に一度降れば大騒ぎになるくらいだ。大人になると非日常を嫌うせいで、雪は厄介者になる。たしかに電車のダイヤが乱れたり、会社の服装にアンマッチな靴を履いていったり、いつもより用心深く歩くことで早く家を出なくてはならない。ただただ煩わしい。

それでも雪の降る景色がわたしは大好きだ。当然のことながら私たちは三次元の空間で生きている。しかし目に見える景色は平面に見える。雪が降るとどうなるだろうか。いつも見ていた景色に奥行きが生まれる。手前の雪も、少しの奥の雪もゆっくりと落ちてくるのが見える。真上を見上げると、空までの距離がうんと遠いことがわかる。空間の中で生きていることを実感できる特別な瞬間なのだ。

雪だるまや雪合戦が楽しいピュアなあの頃にはもう戻れない。けれども、いつもの景色を眺めるだけで雪を煩わしいと思うより、美しいものと思いたい。