好きなもの、好きなこと

好きを言葉にする。残念なアラサー。

20代を振り返る

 つい先日友人が29歳の誕生日を迎えた。笑えないねといいながら大笑いしていた。25歳になり四捨五入して30なんてやばぁと笑い、26歳になって20代後半を自覚、27歳いよいよ本当のアラサーの仲間入りを果たし、28歳高校を卒業して10年なんだねと言ってみたりして、29歳…アラウンドなんて優しさで包みきれない直接的な30がもうすぐそこ!!!

 

 誕生日を迎えた彼女は結婚願望が強い、そしてなかなかモテる。でもどうやら今のところは結婚相手はいなくて、結婚というゴールはまだ先のようだ。彼女と私は状況が同じようで違うけど、同じなことが多いから同じと錯覚して安心感を得られる。

 

  彼女が29歳の誕生日を迎えるにあたり、20代を振り返ってみた。大学生の頃の女子会は気になる人がいるかいないか、イケメンがいるかいないか、彼氏はできたかで盛り上がっていた。社会人になり環境が変わっても、気になる人はできたか、彼氏はできたかで相変わらず盛り上がっていた。社会人になって数年が経ち、第一次結婚ラッシュがやってきた。『これ以上付き合っていてもなにも変わらないから結婚することにした』という報告を受け、結婚とはそんなものなのかとイメージを覆された。やがて集まるきっかけが結婚式や余興、結婚祝いの打ち合わせなどに変わっていった。そして結婚した友人宅(借家)に遊びに行き母子手帳が転がっているのを発見して『あ、実は妊娠したの』と聞かされた20代後半。これまではオシャレな居酒屋カフェで夜に集まっていたのに、やがて子連れで入れる座敷のあるお店でランチを食べるようになった。そして現在、『家を建てたから遊びにおいでよ』といった理由で集まっている。みんなどんどん着々とステップアップしていく。つきあう→プロポーズ→同居→結婚→妊娠・出産→家を建てるといった具合だ。(先に妊娠パターンもあるけどね)

 

 まだ一段も登っていない彼女と私は、階段をのぼり遥か上にいる友人たちを見上げている。まるでジャンケンして勝った人がどんどん階段を登っていけるグリコゲームのようにずっと負け続け、友人たちが登って勝ち進んでいくのを見届けている気持ちになる。人生に勝ち負けなんてないのはわかっている。けれどもなんとも言えない焦燥感、不安感と少しの劣等感。

 

 20代は人生の節目がたくさん訪れるようだ。けれどそれはファーストステップ、『彼氏ができる(つきあう)』というスタートを切らないとご縁がなく過ぎていく。独身でも金銭的な余裕があればいきなり家を建てるという選択をすることもできるけど、暖かい家庭があってこその家だと考えるとただの物質的な家を手に入れても虚しい気がする。また彼氏がいても相手に結婚する気がまだなくてプロポーズ待ちというパターンもあれば、順調に結婚というステップまで進んでもなかなか子どもを授かれないという場合もあるようだ。ファーストステップを乗り越えたからといってそのあとはエスカレーターでびゅーんと簡単に段差を乗り越えられるわけではない。(中にはそういう人もいるけど。)いろいろなステップでみんなそれぞれロッククライミングのように必死に食らいついて次のステップへ進もうとしている。どのステップも簡単に進めるわけではない。平らな世界から友人たちを見上げていることは心の葛藤があるけれど、ステップを登る苦悩がなくそれは楽なのかもしれない。でもこの楽な状況に満足してもいいのだろうか、20代の終わりはすぐそこまで迫っている。

 

 過ぎ去った20代を振り返って思うことは『大学生のうちに結婚相手を見つけておくこと』と『アイクリームは早くから塗っておくこと』だ。第一次結婚ラッシュで結婚できている友人たちの多くは大学生から付き合っている。社会人になって運命の人に出会える人も少なからずいるが、多くの戦友たちは日々合コンという戦場で出会いを求めている。学生時代の純粋な気持ちはどこへやら、収入や社会的地位で優良物件かどうかを判断するようになる。『この人が好きだからずっと一緒にいたいから結婚する』のではなく、『結婚するならこの人でいいか』という目的先行の人選びになる。後付けで好きになる理由を見つけなくてはならない。 

 

 いま思うことは、そこそこの大学入っておけば周りはみんな将来そこそこの企業に勤められる人たちばかりだ。社会へ出てから催される合コンや街コン、婚活パーティー(条件のないもの)ではそこそこのスペックを持ち合わせた人たちと容易に出会うことはできない。しかも純粋な気持ちでなんて不可能に近い。何かしら邪心を抱えている。若いうちに純粋な気持ちがあるうちに恋をして、この人と一緒にいたいから結婚をするができるように学生時代に努力することをお薦めしたい。

 

 残念ながら彼女も私も過ぎ去りし20代をいまさらどうにもできない。そう、いま目を向けなくてはならないのはもうすぐそこまできている30代だ。輝かしい30代を、39歳のときに振り返ってこの10年は充実していたねと言い切れるように今から何かはじめなくては。結婚したいから相手を見つけるのか、結婚したいと思える相手が見つかったら結婚するのかで今後の生き方も変わってくると思う。一応、結婚相談所は20代のうちに登録してみようか。独身で生きていくと覚悟するのはまだ早いのか、もうそのつもりで生きていく準備をしたほうがいいのだろうか。平らな道でみんなのロッククライミングを見上げていたつもりだったけれど、実は自分が一番不安定だった。足元はひび割れていて立っていることすら危うい。ステップアップした友人たちが心配して見下ろしてくれているかもしれない。どんな道であれ生きるのは楽なことじゃないと悟った。未来を決めるのは今の自分だ。たとえ足元がどんなに不安定でも、未来の自分のために賢明な選択をして地盤を固めなくてはならない。逃げと言われるかもしれないけど、できるのなら何もしないという選択をしたい。楽に生きたい。残された時間を精一杯悩もう。おそれることなかれ、30。