好きなもの、好きなこと

好きを言葉にする。残念なアラサー。

はじめてのレキシ

  あれはいつ頃だっただろうか。関ジャムで特集されているレキシさんをみてまんまとハマってしまった。キャッチーなメロディといっけんふざけたような歌詞にすっかり取り憑かれてしまった。隙あらばyoutubeで検索しては聴いてという日々を過ごした。youtubeに寄せられるコメントによれば、ふざけている歌詞のように思われるけれど実は意味がある奥深いものが多いようだ。平面的な直接的な意味だけでなく、立体的に複数の意味を含んだ歌詞にすっかり魅了された。私こういうのに弱い。

 けーぽ界隈でいうfancamなるものはさすがに日本のバンドではなかろうと思っていたのだが、フェスの定点カメラ?のようなものがいくつか閲覧できた。そこで私はさらに好きになる理由を見つけてしまった。キーボードを演奏していたのが風味堂の渡くんであったのだ。私はもともとピアノが好きなのでピアノマンのいるバンドを好きになる傾向があった。風味堂スキマスイッチなど。しかし活動休止を機に情報を追うのをやめていたので『ここにいたのか!!!』と一方通行の運命の再会を果たしたのであった。

 人が音楽に恋に落ちるのはあっという間だ。いっさいの迷いはなく異常なほどの行動力を発揮する。幸運にもちょうどツアーが開催されるところであった。行かない理由が見当たらない。こうしてデビュー10周年の大御所レキシさんのライブにファン数十日の新参者がお邪魔することになった。

  数年前に物欲をすっかり無くした私であったが、どうしても稲穂(600円)が欲しくて並んでしまった。脳の錯覚(人はこれを恋という)のおかげで待ち時間も苦ではなかった。手にした稲穂は想像よりはるかに長くて丈夫で、カバンからはみ出さずに持ち歩くことは難しかった。食べられるわけでもないのに600円で得られる幸福度はかなり高かった。

 

 そしていよいよライブスタート。オープニングは見たことあるし聞いたことあるけどなんか違う…素晴らしい映像からはじまった。CDで予習したときに絶対に生で聴きたいと思った曲をいくつも聴くことができた。また関ジャムでも取り上げられていた即興演奏というか、脱線というか、アレンジと表現すべきか…いい意味で普通には聴かせてくれなくて足を運ぶ価値のあるライブであることは間違いなかった。アンコールのはじまりもどこかで見たことあるようなないような、聞いたことあるような演出で楽しませてくれた。腹がよじれるほど笑ったのは久しぶりだった。ツアータイトル『不思議の国のレキシと稲穂の妖精たち』を文字通り表現している素晴らしいツアーであった。ツアータイトルってどのアーティストのライブにも必ずあるけども、そこまで意識しない演出であることが多い気がする。不思議の国にいる設定はたまにあやふやになるけど、ここまで徹底してツアータイトルを体現しているのをみたのは初めてだった。

 新参者でも十分楽しめるライブであった。おかわりしたいくらい行って本当によかった。出遅れた10年を取り戻すのはなかなか難しいけど、せめて3年分くらい知識を増やして次回のツアーも参加したい。口では説明できない笑いを経験することをお勧めしたい。